蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

怪しい病院と医者からの脱出

警察は私の訴えを無視し、病院のほうにより信頼をおいたようだった。わたしは近いうちに機会を窺って逃げることを考えた。
 しかもそれは次の手術がされる前に実行に踏み切らなければならない。わたしが勘繰りすぎなのか、あるいは医者側が辣腕家なのか、わたしに確証は掴ませない。だが、わたしは臓器売買を行う組織のいち機関に間違いないと信じ込んでいる。
 ある朝、細い階段のある病院の裏側から車椅子に押されて散歩にでていた。クールだが、晴れていて良いお天気だった。わたしが大人しく車椅子に座っていると思っている看護士は、椅子を固定するとわたしからちょっと離れた。わたしは今が逃げるチャンスだと思った。
 車椅子からなんとか立ち上がり、細い医師の急な階段のほうに足がむかった。表側の道には一旦建物のなかに入らないと、出られないとわたしは信じ込んでいたのだった。だが、階段に来たところで気を失ったようだった。