蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

怪しい病院と医者

こんな夢もあった。もちろん私は見ている夢が夢だとはまったく思っていない。リアルであり、本物の現実だと心底信じている。
 目が覚めると、それは病院のベットだった。人懐っこい、小柄な色の浅黒い医者が、「あなたは大変な重病患者なんですよ。すぐに手術をしなければならないのです。その道の専門家がこの病院にはいるから、あなたはとてもラッキーです」
 そんなことを人懐っこく医者は横になっているわたしに言う。ちょっと強制的なものを感じさせる。それしか、手術しかないようなことを言われている気がした。わたしはこんな病院は逃げなくてはいけないと考える。だが、すぐにまた気が遠くなり夢の中で寝入りこんでいる。
 目が覚めると手術は終わったあとだった。体のコンデションは以前と変わってない気がした。でも、胸に手術のあとがあった。
 わたしはこの病院が貧乏人のわたしのようなものから裕福な金に糸目をつけない者のために臓器を手術して盗み取る組織に違いないと思い始めた。
 それで、夢のなかでベットから起き上がり、わたしは起き上がれたのである。なんと病院のすぐとなりには立派な彫刻の施されたライオンが両側に座る玄関をもつ警視庁だった。わたしは危なっかしげだがなんとか体を引き摺って、となりの病院が違法な臓器移植のための組織であること、自分がその犠牲者であることを訴えた。だが、そのあとの記憶がそこでなくなる。


 気がつくと再び同じ病院のベットに横になっていて、同じ医者がベットに座って私の目覚める様子を窺っていた。