蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

夢のなかで退院

目が覚めたときにはやはり同じ怪しい病院の信頼できない医師が私を笑顔で見つめていた。だが、わたしはもうどうでもよかった。なんでもよかった。とにかく逃げることしか考えなかった。誰かが廊下をあるくだけでも騒いで、臓器売買の犯罪組織がこの病院だとか大声で訴え、医者や看護士、看護婦たちを困らせた。
 そして病院が私を退院させてくれた。
わたしは自分が住む街の南の新居に戻ることを思った。だが、そのあたりから記憶がなくなる。意識を失ったようだった。