蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

鳩尾(みぞおち)の痛み

起床は八時頃。腹ももうつっぱってはなくて、体調芋良い。ミルクが怪しいと私あは看做しているが、コーヒーはやはりみるくなでぃではなおめない。
 外気温は15度。お天気はまずますというところ。花粉症の薬を飲んで今日は市内に地下鉄で向かうつもり。銀行に行かなければならない。金の支払いだ。09:10 2022-04-29


昨日のような失敗はしたくなかった。「ミルクとパンは直ちによめよ」という健康番組を視聴したことがある。牛乳は抗生物質や予防接種などいろいろな薬物がうたれた牛の生産物であるから、いますぐやめよという結論だった。
 じゃ、健康に良いオートミールを朝食べるのになんでもって臓腑に流し込んだらいいのかという疑問が生じる。まさか水とかお湯を注いで食べる気もしない。コーヒーを二杯飲み、花粉症の薬も呑み、オメガ3の錠剤も紅茶で飲み、そしてまだ食べ物、固形物を咀嚼嚥下してないので、オートミールをそのうちに齧ってみた。液体無しでも結構食べれると思った。
 そして市内に地下鉄ででかけた。図書館に重い書籍を返し、銀行により、そして1ユーロショップに入った。
 と、その頃から鳩尾のあたりが薄い紙やすりでも入れられているように、絶えず摩擦を繰り返し痛みが感じられるのだった。
 まず第一に思ったことは、自分が老齢者66歳であるということだ。もう晩年なのだろう。もしかしたら癌で、体中に転移してしまっていて、それで痛みも鳩尾にあり、そのために昨日と同じく歩く速度も「亀の歩行」になってしまっている。ふと、なにかを予感してショップで買ったシュガーウオーターを開けて幾度も呑んでみた。久しぶりに市中にきたのでフーゲンドーブルにも入って、書籍などを物色した。もちろん、買わない。欲しくても買わない。部屋が書籍でいっぱいになってしまうから。なにも買わずに一階だけ見てでてきた。
 日本語の書籍店が去年まであったが、そしてその店がどう変わったか気になったが、鳩尾の痛みがあるので、そこまで歩いていく気にはなれない。
 ショッピング通りで、歩行者天国なので白い椅子があちらこちらにおいてあり、お天気の良いこともあり、賑やかに、ドイツ人やトルコ、アラブ人がコーヒーやアイスクリームを前にあたりを見回し会話を楽しんでいる。
 よく太った婦人たちや、驚くほど突き出た太鼓っ腹の老人が歩いている。以前だったら、よくもあれだけ肥えたものだとあきれ、食い意地がはっているからだろうとみ下げていたが、今は違う見方をして一瞥している。孤独で引きこもりがちで、酒とか食事が唯一の慰めなのだろうとか、若い時の大ぐらいの習慣がやめられないのかもしれないとか、飲んだら太る様な薬剤を何らかの病気のために定期的に嚥下しているのだろうとか、そんなことを思う。また、おそらくもう長生きはできないだろうなとも思う。
 鳩尾の鈍い痛みを感じながら、私にももうあまり執行猶予はないのだろうなと思ったりする。でも、まだ死ねないと思う。まだなにも書いてないとも思ったりする。岩本れいこさんと自分の相思相愛、妻との出会いと恋愛、そして死、なにも書けてない。トライはしてきたが、生来が怠惰で、執念も根性も不足しているから。
 歩行者天国の店舗に囲まれている場所は細長い石畳になっていて、真ん中は比較的小さめの石畳で占められ、たまにベンチも金属製の網のようなものが設置してある。わたしはそこに座った。そして市販のスポーツドリンクを幾度も傾けては飲んだ。こんなベンチには3,4年前には座ったこともなかったろう。死は急激にやってくる到来するということだろうかと思った。続けて、1Lはある液体を傾けてはのむ。そのうちに、まさかとは思いながらも、そのまさかであったら良いと思っていたが、鳩尾の痛みが薄れてきたような気がした。いや、たしかに薄れていると思った。
 いきなり老化から痛みが広がってきたのではなく、オートミールのギザギザの固形物を咀嚼し嚥下したあとで、液体を飲んでなかった。それがもしかしたら原因で痛みが発生したのではないのかと思えた。座ってさらに飲み続けて、時間がたち甘い液体が食道と胃壁を撫でていくたびに痛みが薄くなるような気がした。
 そして痛みが薄くなると歩くのが苦にならなくなり、今回も諦めようと思った、アジア食材店の『東方行Go-Asia』に納豆を買いに足を運ばせることに決めた。この歩行者天国から片道100メートルはあるかもしれない。懐かしい日本の『ハウス・バーモントカレー』を六箱も買い、モヤシ一袋、日の出という寿司米?を子袋ふたつ買った。あとは地下鉄に乗って真一文字に帰宅した。50分は地下鉄に揺られ、そこからさらにバスで8分もかかるだろうか。
 すぐにカレールーに玉ねぎやニンジン、ブロッコリーを細かく切って入れて、ソースを作り、冷凍庫に数週間も入っていたチキンのカツレツをフライパンで焼いて、そのうえに自家製のカレーソースをたっぷりかけて食べた。食べると糖尿なのでベットに横になりたくなった。西村賢太さんの中編『同で死ぬ身のひと踊り』を読み継いで、寝入っていた。ご飯も一緒にとらない夕食だったせいか、そしてすぐによこjになったせいでもあろう、臓腑が一昨日、昨日と同じように自動的に浮腫み始めた不快感に襲われた。それで、横になる以外はきついのであるが、椅子に座り、ネットを始めた。食べてすぐに横になるのは良くない、つくづくそう思う。
 言葉はわからないがモーパッサンの映画をなんとなくみている。あれほどフランス文学に憧れていたのに、縁はなく、つくれずドイツ語を選んでしまったことがちょっと後悔される。22:36 2022-04-29