蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

有島武郎について

薄い彼に関しての写真が多く入った伝記本を持っている。自殺を人妻としたということであまりわたしの好きな作家の範疇には入らない人物なのであるが、手に入らないものが多い外国に住んでいるので贅沢はいえない。
変なことを書くけれども、ある意味では彼はいけめんにはいる人だとじっくり幾葉もの写真をみているうちに思った。ようするに整った顔といえる。奥さんの結核で28歳で無くなった安子さんはもちろんだ。海外でも通用する魅力を感じさせる女性だ。日本の女性は海外でのほうが自分の美、魅力を活かせ得るといつも思う。


有島作品はこれまでにも読んだことがある。多くはない。文体も結構乱暴だなと思ったが、少年時代に読んだ溺れかけた兄妹は今でもその読書体験を忘れない。ただ、ある女のこの分厚さは、ただそれだけで棄権したくなる。志賀直哉の暗夜行路もやっと半分まで読めてやはり放り出してしまった。現今ではあの雰囲気で長々と書かれても読んでいる暇はないと放棄したくなってしまう。純文学で最後まで読ませるのは大変なことだと思うが、特に現今では。もちろん大衆小説は棄権したい。でも流は大変面白かったし最後まで読んで読後感も良かった。普通、大衆小説はあの国盗り物語でも四冊の文庫本を四日間で読んでしまったが、読後感はまんまと読ませられてしまったという後悔だけだった。そんなものはいらないのだと今でも思う。もちろん、わたし個人の勝手な気持ちだけれども。


有島武郎のある女、さあ、どうしょうかと今迷ってる。どんな女性かすでに概略でしってしまったが、純文学なのだから、猟奇的な意味とかどんでん返しが命ではないから知っていてもいいのだとわたしは思う。ましてやもしかしたら今の時代のわたしたちから見たら退屈かもしれない内容と書き方になっているかもしれないから・・・