蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

事実無根の夢

愛妻の足跡は北海道で消えている。それ以上は、ドイツ人だからということで外人客の女性が勤めるいかがわしくもモダンなバーに行ってみるが、ここでも背中をしたにして身動きできない長いソファーに横になっていてなにも進展することもない。なんの情報も掴めない。
そしていきなり私の妻と結婚した長い顔の髭も生やした日本人の男がパイロットとしてあらわれるのである。
 妻の死因も分からない。彼女が夫の私を追いかけてドイツから遥遥日本の北海道に来たことだけが分かっている。新聞にカラー写真でプールに水着姿で半身使って笑顔を向けている妻の姿が残っている。なぜ北海道に着たかと言うと、北の端から南の果てまで夫を探す積もりということらしかった。夢のなかでは私も魔法にかかっていて、すでに妻が9年前に亡くなったことも忘れている。そしてほとんど本気で妻と結婚した日本人の男に嫉妬している。、私が愛妻を捨てたようなストーリーになっているのに。わたしから全財産を盗んだスベンも一度日本に来て遊んでいったことになっていた。
 わたしは背中を下にしたまま東北地方を列車で屋根の上に縛られて運ばれていき、おそらくわたしの体が冷やされていたのかもしれない、生まれ故郷の「なぜか」名古屋のほうにより、沖縄に飛んでいった。