蝦夷リス

近道への遠回り・数十年前作家になることを考え、特殊な語れる体験がなければと思い日本を後にしました。文壇のなかでのコネなどなかったからです。二十代までは必ずこの癒着がものをいうと信じてきてました。

べラングロージィヒカイト 些細なこと 蝦夷リス

べラングロージィヒカイト 些細なこと 蝦夷リス


外気温はバルコニーで、外気温と言う場合にはわたしのこの記述では常にバルコニーの花の傍においてある温度計が示す気温をさすが、現在17℃であった。気温の下がった昨夜から今朝まで葵の白と赤を僅か1ユーロと9セントだったか、買った物をバルコニーに出しておいたが、花は枯れてはいないし、無事ザヴァイバルできていた。午後 03:01:21


 厨房の窓の外で何度も何度もハウス裏手のドアを開け閉めしている者がいるので、トイレの窓から外を窺ってみた。しかし、そこにはもう人影は見えなかった。しかし、思わずわたしの顔が明るく崩れるのを覚えるものがそこにいた。蝦夷栗鼠だった。
 浅い茶色っぽい色の体毛で覆われた栗鼠が何かを齧っていた。その齧る姿がとても可愛い。誰も近くにいないので結構長く同じ姿勢で両手にどんぐりか何かを持ってきちんと座って食べている。やがてコンテナーを隠すための垣根の新緑のしたに移動して何かを拾うように見えたが、こんな窓から顔を覗かせている私を誰かが見ていてはいまいか、そして変なことを言うものがでてこないだろうかと疑心暗鬼してわたしは顔を引いた。